【訂正とお詫び】Gmailへの「直転送」はもう限界?2026年問題で顧問先からのメールが届かなくなる理由と正しい対策【動画解説付き】

こんにちは。税理士専門WEB会社、FIS DESIGNSの福田です。

以前、Gmailの外部メール受信機能が終了する、いわゆる「2026年Gmail問題」についてお伝えした際、対策の一つとして、自社ドメイン宛てのメールを無料の個人Gmailへ転送し、
一つの受信トレイで管理する方法をご紹介しました。

しかし、メールを取り巻く環境は急速に変化しています。最近では、

「サーバーからGmailへ転送しているはずなのに、顧問先からのメールが届かない」

「以前は受信できていたメールが、突然迷惑メールフォルダに入るようになった」

といった相談が増えています。

そこで、以前の説明を訂正するとともに、現在の状況を踏まえた対策をご案内します。

現在、業務用メールを無料Gmailへ単純転送して集約する運用は、積極的にはおすすめできません。

以前は手軽で便利な方法として広く使われていましたが、
メールの送信元を確認する仕組みが厳格になったことで、正規の転送メールであっても、
迷惑メールやなりすましメールと判定される可能性があるためです。

正規のメールが「なりすまし」と判断される理由

たとえば、顧問先のA社長が、税理士事務所の独自ドメイン宛てにメールを送ったとします。

そのメールを税理士事務所のサーバーから個人Gmailへ自動転送すると、
Gmailから見た送信経路は次のようになります。

  • メール上の差出人はA社長
  • 実際にGmailへ届けたのは税理士事務所のメールサーバー
  • 差出人と送信経路が一致していない

人間が見れば、単なる転送メールだと理解できます。
しかし、システムから見ると「A社長を名乗るメールが、A社長とは別のサーバーから届いた」ように
見えることがあります。

郵便に例えるなら、差出人欄にはA社長の名前が書かれているのに、
まったく関係のない場所から発送されている状態です。

この送信元を確認するために使われる代表的な仕組みが、SPFDKIMDMARCです。

SPFは、送信に使われたサーバーが正規のものかを確認する仕組みです。
しかし、メールが別のサーバーを経由して転送されると、元の送信者が指定したサーバーと、
Gmailへ実際に届けたサーバーが一致しなくなることがあります。

その結果、正規のメールであっても認証に失敗し、次のような問題が起こる可能性があります。

  • 迷惑メールフォルダへ振り分けられる
  • Gmail側で警告が表示される
  • 受信が遅れる
  • 受信そのものを拒否される
  • 送信者にも受信者にも分かりにくい形で未着になる

もちろん、すべての転送メールが届かなくなるわけではありません。
DKIMや転送サーバー側の仕組みによって、正常に届くケースもあります。

問題なのは、「昨日まで届いていたから、明日も必ず届く」とは限らないことです。

税理士事務所にとってメールは、単なる連絡手段ではありません。
申告資料の提出、顧問先からの相談、税務署からの連絡、契約や請求に関する確認など、
業務上重要な情報が集中する生命線です。

顧問先から重要な資料が送られていたにもかかわらず、転送の途中で届かなかった場合、
「メールシステムの問題でした」という説明だけで信頼を取り戻すのは難しいでしょう。

2026年に終了するのは「POPによる外部メールの読み込み」

ここでもう一つ、正確に整理しておきたい点があります。

Googleが終了を進めているのは、無料Gmailの設定画面にある
「他のアカウントのメールを確認」という機能で利用されてきた、
POPによる外部メールの読み込みGmailifyです。

これは、自社ドメインのメールサーバーに届いたメールを、Gmail側が定期的に取りに行く機能です。

Googleの案内では、2026年第1四半期以降、新しい利用者はこの機能を設定できなくなり、
すでに利用しているユーザーも2027年1月までに利用できなくなる予定です。

したがって、現在もPOP受信が動いているからといって、そのまま使い続けられるわけではありません。

一方で、メールサーバーからGmailへ送る「自動転送」は、POP受信とは別の仕組みです。
自動転送自体が同じ時期に一律廃止されるわけではありません。

ただし、自動転送には先ほど説明したメール認証上のリスクがあります。
そのため、POP受信が終わった後の代替策として、安易に直転送へ切り替えることもおすすめできません。

つまり、今後の方針は次のように整理できます。

  • POP読み込みは終了に向かっているため、移行が必要
  • サーバーから無料Gmailへの直転送は、未着リスクがある
  • 業務メールを無料Gmailへ集約する運用自体を見直す時期に来ている

対策1 IMAPでメールサーバーへ直接接続する

比較的導入しやすい対策が、OutlookやThunderbird、スマートフォンのメールアプリなどを利用し、
自社ドメインのメールサーバーへIMAPで直接接続する方法です。

IMAPは、メールソフトからサーバー上のメールを直接確認し、複数の端末で同期する仕組みです。

転送を挟まないため、メールの送信経路が途中で変わることによる認証トラブルを抑えられます。
また、無料Gmailの外部POP受信機能が終了しても影響を受けません。

パソコンとスマートフォンの両方に設定すれば、外出先でもメールを確認できます。

ただし、IMAPを導入すれば自動的にすべてが安全になるわけではありません。
メールサーバーの容量、迷惑メール対策、端末紛失時の対応、パスワード管理などは
別途整備する必要があります。

対策2 Google Workspaceなどの法人向けメールへ移行する

より根本的な対策は、Google Workspaceなどの法人向けクラウドメールを導入することです。

Google Workspaceでは、自社ドメインそのものをGoogleのメールシステムに紐づけます。
そのため、外部サーバーから無料Gmailへ転送したり、GmailがPOPでメールを取りに行ったりする必要がありません。

最初から自社ドメインのメールをGmailの画面で送受信できます。

法人向けサービスを利用する主なメリットは、次のとおりです。

  • 独自ドメインのメールをGmail上で直接管理できる
  • パソコンとスマートフォンでメールを同期できる
  • 迷惑メールやフィッシングへの対策を強化できる
  • 二段階認証や管理者によるアカウント管理ができる
  • 退職者のアカウント停止やデータ管理を組織として行える
  • Googleドライブやカレンダーなども一元管理できる

当然ながら月額費用は発生します。
しかし、税理士事務所が取り扱う情報の重要性を考えれば、
メール環境は「無料で済ませるための仕組み」ではなく、「顧問先との信頼を守るための事業インフラ」として考える必要があります。

メールが一通届かなかったことで、申告や手続きが遅れるかもしれません。
情報漏洩が発生すれば、費用以上に大きな損失を招く可能性もあります。

「今まで使えていた」は安全の証明にならない

ITの世界では、半年前や1年前の常識が、短期間で通用しなくなることがあります。

今回の問題も、以前の設定が間違っていたというより、
Googleの機能やメール認証を取り巻く環境が変化したことで、
以前は実用的だった方法のリスクが高まったと考えるべきでしょう。

特に注意したいのが、次のような事務所です。

  • 独自ドメインのメールを無料GmailでPOP受信している
  • レンタルサーバーから個人Gmailへ全メールを転送している
  • 代表者一人の無料Gmailに事務所のメールを集約している
  • SPF、DKIM、DMARCの設定状況が分からない
  • メールが届かなかった場合の確認方法を決めていない
  • 退職者や外部スタッフとメールアカウントを共有している

一つでも該当する場合は、現在の受信方法、メールサーバー、DNS設定、利用端末、
アカウント管理方法を確認することをおすすめします。

まとめ

今回、以前ご紹介した「無料Gmailへ転送して一元管理する方法」について、
現在では業務用メールの中心的な運用としておすすめできないことを、訂正してお伝えしました。

重要なポイントは、次の3つです。

  • メール転送ではSPFなどの認証が崩れ、正規のメールでも未着や迷惑メール判定が起こる可能性がある
  • 無料Gmailによる外部メールのPOP読み込みとGmailifyは終了に向かっている
  • 今後はIMAPで直接受信するか、Google Workspaceなどの法人向けメールへ移行する

「無料だから」「今まで届いていたから」という理由だけで、メール環境を維持するのは危険です。

メールは、税理士事務所と顧問先をつなぐ重要なインフラです。
問題が起きてから慌てるのではなく、今のうちに受信方法やセキュリティを確認し、
安全な環境へ移行しておくことが大切です。

FIS DESIGNSでは、税理士事務所・会計事務所を対象に、
Google Workspaceの導入や独自ドメインメールの移行、SPF・DKIM・DMARCを含むメール環境の整備をサポートしています。

「自社がどの方法で受信しているのか分からない」「最近メールの未着が気になる」「POP終了前に安全な環境へ移行したい」という先生は、トラブルが起きる前に一度メール環境を確認してみてください。

今回のコラムの内容を、動画でも解説しています。

執筆者紹介

福田英明
福田英明
株式会社FIS DESIGNS  代表取締役

独立前は、「楽天ビジネス」にて税理士事務所を
中心に士業事務所を担当。
2013年に税理士特化型WEB制作会社FIS DESIGNS
の代表取締役に就任。
300事務所以上の税理士事務所のホームページ制作や、
WEBコンサルティングに従事。
2019年に、税理士向けセミナーポータルサイトの
「セミナーBOOK」の創立に参画。
税理士向けセミナー講演も多数行い、税理士事務所のWEB戦略推進に
日々邁進している。